●アヒルと鴨のコインロッカー
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎(東京創元社刊)
脚本:中村義洋 、鈴木謙一
出演:濱田岳 、瑛太 、関めぐみ 、田村圭生 、松田龍平 、大塚寧々 他
オフィシャルサイト:http://www.ahiru-kamo.jp/
2006年/日本/110分
伊坂氏の同名小説の映画化。
映画を見た後に原作も読みました。
この手の、現在と過去が入れ子になっていたり、(あえて言えば)叙述トリックのミステリって映像化がむずかしいと思うんだけど、映画だけ見ても楽しめる良い作品に仕上がっていたと思った。
ほんとうまく物語を(一部)組み直してるよねー
各登場人物の描写(個々のエピソードみたいなの)に関しては原作本に比べると、やはり浅くなってしまっている感は確かにある。
特に琴美ちゃん。原作では過去における話し手は彼女なんだけど、映画ではそれがないからね。
あえてシーンが繰り返されるところ、なんかタルいといえばそうかもなんだけど、観客って椎名以上にで「飛び入り参加者」だったんだよね。
冒頭は突拍子もなく、いろいろな事柄が断片的に描かれていくので、中々全体像が見えてこない。
でも、中盤に繰り返すことで、また違った目で見ることで、ぐっと共感し、単なる垣間見ただけ以上の想いや共感が持てるのではないかな、なんて思いました。
冒頭に、椎名(濱田岳)がディランの「風に吹かれて」を歌いながら引越しのダンボールを片付けているシーンが出てきます。
そのシーンは物語のラスト近くに再度出てくるのですが、冒頭見た時は、単純に「おもしろおかしい図」だったのが「とても切ない泣けるシーン」に180度印象が改まりました。
見始めは、上にも書いたけどなんか掴みどころないし、妙な感覚があって戸惑って見てたんだけど、その「妙な感覚」は、この映画を見る上では欠かせない、製作者や俳優の意図に沿った正しい感じ方、だったのかなーって、見終わった後には思った。
ミステリでもあるのだけど、どちらかというと、主人公たちのひたむきさ、さびしさ、せつなさ、むなしさ、そういったものを描いた青春映画の度合いが強いかな。
元々原作本を出版した東京創元社のミステリ・フロンティアのカラーがミステリを纏った青春小説なのかしら?
小路幸也さんの『HEARTBEAT』も良かったし、このレーベルの他の作品もチェックしてみようかな。
久々にコレと『キサラギ』と邦画を映画館で見たけど、どっちも面白くて、邦画もいいじゃん!って思いましたよ〜。
ちなみに『キサラギ』は感想書きそびれたまま。
ミステリ系はネタバレ考えると書くの難しくてね。。。